2018年1月22日月曜日

世紀の対決 'Miracle Mile' Rodger Bannister V.S. Jhon Landy

Rodger Bannister(left) and Jn Landy(right) in Empire game at Vancouver on Aug.7th 1954

以前記事で1マイル(約1600m)4分の壁を人類史上初めて破ったのは英国のロジャー・バニスター卿と書きました。時は1954年5月6日、所はオックスフォード大学のトラック、記録は3分59秒4でした。その直後の6月21日、フィンランドのテュルクにて豪州のジョン・ランディが3分58秒を出し、世界記録を更新します。
そうなると世間は二人が対決したらどうなるのか、どちらが世界一強いランナーなのか、と俄然耳目が集まってきます。
二人はその年の8月7日、バンクーバーで開催された英連邦大会で雌雄を決することになりました。何万もの観衆が見つめる中、号砲がなります。ランディは300m地点で早くも先頭に踊り出て、レースを引っ張ります。400mの通過は58秒。バニスターはランディの先行を許しますが、徐々にその差を詰めていきます。ランディは迫るバニスターの気配を感じたのでしょうか、何回も肩越しに振り向きながら位置を確認しようとします。
ランディがそのまま逃げ切るのか、はたまたバニスターが爆発的なスパートでランディを抜き去るのか、息の詰まるような、手に汗握るレース展開。
観衆も興奮し、レース会場は割れんばかりの声援で満たされます。この時の歓声が大きすぎてランディは迫るバニスターの足音が聞こえず、最終コーナーで左肩ごしに振り向いたその瞬間、バニスターがランディを一気に抜き去ります。
そのままバニスターが187cmの長身から繰り出されるロングストライドで差を広げ、ゴールテープを切ります。
軍配はバニスターにあがりましたが、二人とも4分を切る好レース。その模様が以下の映像に残されています。
1st   Rodger Bannister  3:58.8
2nd  John Landy           3:59.6




バンクーバーの大会会場には二人の対決を記念して銅像が建てられているらしく、この時の様子を振り返ってランディは聖書の逸話をもじってこう言ったといいいます。
「ロトの妻が振り返ったとき、彼女は塩の柱になってしまった。私はあの時振り返ってしまったために銅の柱になってしまった!」
“When Lot’s wife looked back she was turned into a pillar of salt. When I looked back I was turned into a pillar of bronze!”.

塩の柱 旧約聖書の逸話
 ソドムの町には、アブラハムの甥のロトという人が住んでいました。彼は正しい人だったので、神の使いは、ロトに町が滅びる前に逃げるように言い、ただし、けっして後ろをふり向いてはならないと告げました。ロトは家族を連れて逃げましたが、彼の妻はふり返ってしまったために、塩の柱になってしまいました。そこから、英語表現のa pillar of salt は 「すべてを失うこと」 の意味で使われます。



0 件のコメント: